欧米化が進む日本では、私たちの食事のなかには多くの小麦粉製品がたくさん存在しています。どれもこれもカロリーや糖質が高く、健康志向が高まる近年では小麦粉に対する悪いイメージを抱いている方も多いです。本記事では、小麦粉のカロリーや糖質などの栄養素について解説し、米粉や全粒粉との違いについても紹介しています。小麦粉のことをもっと知りたい方は、要チェックですよ。
小麦粉のカロリー
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 糖質 |
---|---|---|---|---|
薄力粉 2等/100g | ||||
368 kcal | 9.3 g | 1.9 g | 74.3 g | 71.7 g |
中力粉 2等/100g | ||||
368 kcal | 9.7 g | 1.8 g | 73.1 g | 71.0 g |
強力粉 2等/100g | ||||
366 kcal | 12.6 g | 1.7 g | 70.6 g | 68.5 g |
摂取基準 (上段男性、下段女性) | ||||
2650 kcal 2000 kcal | 60.0 g 50.0 g | 73.6 g 54.8 g | 364.0 g 271.0 g | 344 g 253 g |
※1
小麦粉は薄力粉・中力粉・強力粉の3つに大別されます。3つはタンパク質である小麦グルテンの含有量によって区分されていて、強力粉がもっとも多く、薄力粉がもっとも少ないです。小麦グルテンが多いともちもち食感になるので、パンや麺類では強力粉が用いられるのが一般的。
話が逸れてしまいましたが、小麦粉は平均的で368Kcal、糖質は約70.0gです。タンパク質や食物繊維も含んでいますが、ほとんどが糖質でできている高糖質食材のひとつになります。
小麦粉の栄養
「グルテンフリー」が健康に良いと良く耳にしますが、小麦粉は身体によくないのでしょうか?小麦粉の栄養素について、くわしく紹介します。
糖質
小麦粉には糖質が豊富に含まれています。糖質は身体にとって使いやすいエネルギー源で、消化・吸収に時間がかからないので速やかに利用できる優等生です。常に活動している脳や赤血球は糖質のみをエネルギーとして使いますし、身体を動かす筋肉も糖質がないとしっかりと働くことができません。たくさん摂る必要はありませんが、糖質を含む小麦粉はエネルギー源になることが分かりますね。
タンパク質
同じく糖質の多い食品である白米にはほとんど含まれていませんが、小麦粉には植物性のタンパク質が含まれています。肉や魚に比べるとアミノ酸バランスは良くありませんが、タンパク質源としても活用できるのです。小麦粉のなかでもタンパク質の含有量が多いのは、強力粉。100gあたり12.6gも含んでいて、6枚切りの食パン1枚を食べれば約6.0gのタンパク質を摂ることができます。
ミネラル
量は多くありませんが、小麦粉はミネラルを含んでいます。マグネシウムやリン、カルシウムや亜鉛など、人が必要とするミネラルをマルチに摂ることができるのです。「小麦粉を食べればミネラルをすべて補充できる」など栄養食品のような含有量ではありませんが、バランスよく栄養素を摂るためのサポート役になれます。
小麦粉のグルテンが炎症を引き起こす
グルテンフリーの商品が多く販売されるなど、たびたび問題視される穀類のタンパク質であるグルテン。グルテンは人の身体では「異物」として認識され、免疫機能が働いて排除しようと働き、炎症反応を引き起こすとされています。
小麦アレルギーはまさにその一種ですが、便秘や下痢が多い方や肌が荒れやすい方も、グルテンによる腸内の炎症反応が影響している可能性があるのです。そのため、農林水産省をはじめ、グルテンフリーを推す専門家の方は多くいます。
「小麦粉製品を辞めたら身体の調子が良くなった」という方は少なくありませんので、自身の身体と相談しながら摂るようにするといいでしょう。
小麦粉と全粒粉・米粉の栄養を比べてみよう
糖質の摂りすぎが見直されるようになった現代、精粉された白い小麦粉を使ったものではなく、外皮や胚を一緒に使う全粒粉が注目されています。また、日本人の米離れを懸念し、農林水産省では米粉を普及させようと奮闘(※2)しているのです。小麦粉と全粒粉・米粉のカロリーや栄養について比べてみましょう。
小麦粉と全粒粉
小麦粉と全粒粉の栄養成分値は以下の通りです。
カロリー | タンパク質 | 糖質 | 食物繊維 |
---|---|---|---|
薄力粉 | |||
368 kcal | 9.3 g | 71.7 g | 2.6 g |
強力粉 | |||
366 kcal | 12.6 g | 70.6 g | 2.1 g |
全粒粉 | |||
328 kcal | 12.8 g | 61.2 g | 11.2 g |
※1
全粒粉は小麦粉に比べてカロリー・糖質が少なく、食物繊維が多いです。そのため、摂取後の血糖値上昇が緩やかで、ダイエット中にパンを食べる際にもよく推奨される小麦粉の代替え品になります。また、精粉していないためにミネラルやビタミンも小麦粉よりも優位に多いことも特徴です。
カリウム(㎎) | マグネシウム(㎎) | 鉄(㎎) | 亜鉛(㎎) | マンガン(㎎) | ナイアシン(㎎NE) | ビタミンB6 (㎎) | ビオチン(㎎) | |
強力粉 | 86 | 36 | 1.0 | 1.0 | 0.6 | 1.1 | 0.08 | 2.6 |
全粒粉 | 330 | 140 | 3.1 | 3.0 | 4.0 | 5.7 | 0.33 | 10.8 |
※1
体内の水分量の調節・タンパク質の合成・酸素の運搬・エネルギー産生・腸内の老廃物の排泄など、どれも私たちにとって欠かせないビタミン・ミネラルを豊富に含むので、全粒粉は健康によいをいわれているのです。しかし、先ほど紹介したグルテンは小麦粉同様に含んでいることは忘れずに。
小麦粉と米粉
小麦粉と米粉の栄養素は以下の通りです。
カロリー | タンパク質 | 糖質 | 食物繊維 |
---|---|---|---|
薄力粉 | |||
368 kcal | 9.3 g | 71.7 g | 2.6 g |
強力粉 | |||
366 kcal | 9.3 g | 70.6 g | 2.1 g |
米粉 | |||
374 kcal | 6.0 g | 79.3 g | 2.6 g |
※1
米粉は小麦粉に比べて糖質が多く、タンパク質は少ないです。小麦粉の方が栄養価は高いように感じますが、米粉が評価されている点は「グルテンフリー」で「タンパク質が小麦粉よりも良質」という点。米粉はお米を主原料としているため、小麦粉に含まれているタンパク質グルテンは含んでいません。そのため、炎症反応を引き起こす心配もなく、消化も効率が良いため、お腹にやさしいです。
また、小麦粉よりもタンパク質の含有量は少ないですが、米粉の方が良質。タンパク質は必須アミノ酸のバランスで評価がされますが、小麦粉のスコアは41に対し、米(米粉)は65です。つまり、米粉のほうが必須アミノ酸をバランスよく含んでいるということになります。
糖質をオフしたいなら全粒粉がオススメ
糖質を制限している時にパンを食べるのであれば、食物繊維やビタミンが豊富な全粒粉がオススメ。摂取する栄養素の代謝も上げながら、小麦粉でつくるパンよりも糖質を抑えることができます。できればサンドイッチなどで、たっぷりの肉や魚、野菜をトッピングしましょう。そうすれば、さらに血糖値の上がり方が緩やかになり、太りにくい食事に近づきます。
揚げ物のカロリーをオフしたいなら米粉に代替え
米粉は小麦粉に比べて吸油率が低いです(※2)。天ぷらや唐揚げなど揚げ物をつくる際、小麦粉を米粉に代用すればカロリーをオフすることができ、時間が経ってもベタつかずサクサクの食感が楽しめます。しかし、注意したいのは「吸油率が低い」だけであって「米粉のカロリー自体は小麦粉よりも高い」という点です。米粉で作った米粉パンは、食パンとカロリーは大きく変わらないうえに糖質は多くなります。よって、ダイエット中にカロリー・糖質オフを目的として米粉パンを利用するのはオススメできません。
小麦粉のカロリーや糖質のまとめ
小麦粉のカロリーや糖質、含まれている栄養素について解説しました。タンパク質やビタミン・ミネラルを摂取できますが、身体に合うかどうかは個人でも差がでてきそうです。全粒粉や米粉も、目的に合わせて上手に使ってみてください。
参考文献一覧