「夜バナナダイエットで1ヶ月に5キロ減ったって聞いた」
「夜のバナナはダイエット・美肌・浮腫み予防効果があるらしいけど本当?」
夜にバナナを食べると、うれしいことだらけじゃないか…!と驚いてしまいますよね。
効果が本当なのであれば、自分もトライしたいと思うはずです。
結論、夜バナナの効果は人それぞれに異なります。そして、夜にバナナを食べ過ぎると痩せるどころか太りますので、要注意!
この記事では、管理栄養士の筆者が
- 夜バナナ効果の真偽
- 摂るバナナの効果を引き出す方法
について解説します。
(※)あくまで筆者の意見です。
夜にバナナを食べるだけで魔法レベルに良いことが起きると思っている方は、ぜひ最後まで読んでいってください。
まずは「夜バナナ」の効果の真偽を考えてみる
夜バナナの効果が本当かウソか、気になりますよね。そこで、栄養素の面から「夜バナナの効果」の真偽を考えてみました。
夜バナナの効果で謳われているのは、次の4つです。
- 痩せる
- 浮腫みがとれる
- 睡眠の質が良くなる
- 腸内環境が整う
4つの効果が「真」なのか「偽」なのか、順に解説していきます。
1.痩せる?→バナナで夕食の量が減れば痩せる!
夕食の30分ほど前に、バナナ2本と水200mlを飲むと痩せるということです。こちらは「バナナと水でいつもより食事量が減れば痩せられる」でしょう。
食事の前にバナナ2本を食べて水200mlを飲めば、ある程度胃の容量が増します。胃が膨れたことで満腹中枢が働き始めるので、30分後、食事を目の前にしても「ガツガツ食べてやる!」と思わないはずです。
よって、満腹感を得たことで箸が進まなくなる方であれば、効果はあります。
ただ、バナナ2本ごときでお腹に得強がない方も現実問題いるのです。いつも通りの食事をとってしまうのであれば、追加でバナナ2本のカロリーを摂取しただけなので、痩せません。
結論、バナナを食べるだけで食事量を減らせなければ、夜バナナは太ります。
2.浮腫みがとれる?→バナナはあくまでサポート。浮腫み対策は原因をみつけるべき
夜にバナナを食べると、カリウムが豊富なので浮腫みがとれるとのこと。こちらに関しては、夕食の塩分量を減らしてバナナを食べれば、効果は期待できると思います。
確かにバナナは、ナトリウム(塩分)を体の外に出す作用をもつカリウムが多いです。しかし、薬のように強い作用があるわけではありません。
塩分の多い食事をとった日にバナナを食べたとしても、体にとって不要なナトリウムが多ければ確実に浮腫みます。食べ物だけでなく、血流が悪かったり筋肉量が少なかったり水分量が少なかったり…さまざまな理由があるので、夜のバナナで完全に浮腫みがとれるわけではないです。
浮腫み対策でバナナを活用するのは、気持ち程度の効果と期待しておくと良いでしょう。
3.睡眠の質が改善?→トリプトファンの摂取なら、バナナより魚や肉がおすすめ
睡眠の質が良くなるという噂は、バナナに含まれるアミノ酸「トリプトファン」が理由のようです。バナナを食べるだけで睡眠の質が良くなるかどうかは、正直怪しい…というのが答え。バナナに含まれるトリプトファンの量は、特段多いわけでないからです。
トリプトファンはアミノ酸の仲間なので、果物よりもタンパク質が豊富な肉や魚に多く含まれます。
実際にどれくらい量が違うのか確認してみましょう。
- バナナ:10㎎
- パイナップル:7㎎
- メロン:7~8㎎
- サバ:210㎎
- タラ:180㎎
- 鶏むね肉:250㎎
- 豚モモ肉:280㎎
(※)100gあたり
(※)参考:食品成分表2021年
ご覧の通り、トリプトファンに注目するのであれば、バナナは他の果物と大差はないのです。わざわざバナナを食べずとも、魚や肉を食事に取り入れればトリプトファンは十分に補給できます。
また睡眠の質は食事だけでなく、運動習慣や生活スタイルも大きく影響するので、バナナを食べるだけで改善させるのは難しいかもしれません。
4.腸内環境が整う?→効果はあるが、個人差もあるので注意
バナナはオリゴ糖や食物繊維など、腸内環境を整える栄養素を含んでいます。よって、腸内環境を整える作用は期待できます。
ただ、顔や体型が人によって違うように、腸と食品の相性も個人差があります。バナナ自体には腸内環境を整える栄養素が含まれていますが、絶対に効果を感じられるかと言えば、皆が皆というわけではないのです。
これはバナナだけに言えるわけではなく、オートミールや海藻など、一般的に便秘に効果があると言われる食品すべてに当てはまります。3日ほど食べてみて、「逆にお腹が張るかも」「なんだかガスがたまりやすいな」と違和感を感じれば、相性が悪いので控えるが吉です。
夜バナナの効果を引き出すコツ
粗探しのようになってしまいましたが、バナナ自体にさまざまな栄養素が含まれているのは事実です。せっかくなので、効果をできる限り引き上げるコツも考えていきましょう!
夜バナナに期待したい効果は、次の4つでしたね。
- 痩せる
- 浮腫みがとれる
- 睡眠の質が良くなる
- 腸内環境が整う
それぞれ効果を引き出していくコツを順に解説していきます。
1.夜バナナで絶対に痩せたい!
夜バナナを活用しながら痩せたいのであれば、考案者の医師 松生恒夫先生の著書にあるように、バナナを食べた後ある程度満腹感を得てから夕食をとりましょう。普段よりも食事を減らす目的でバナナを食べるので、これが守れないのなら夜バナナダイエットは向いていません。
どれくらい食事の量を減らすと効果が出やすいのか考えるため、バナナと主食類の「エネルギー量・糖質・食物繊維の量」を比べます。
- バナナ2本:約150kcal・糖質38g・食物繊維2g
- 白ご飯茶碗一杯(180g):300kcal・糖質66g・食物繊維0.5g
- 白ご飯茶碗大盛一杯(220g):370kcal・糖質81g・食物繊維0.7g
- 中華麺一人前(200g):約290kcal・糖質58g・食物繊維2.6g
バナナもある程度の糖質を含むので、ちょっと主食を減らすくらいでは効果は感じにくそう。よって、夜バナナダイエットを成功させるなら「夕食の主食は無し」がおすすめです。
バナナダイエットを成功させたい方向けの記事やバナナはダイエット向きなのか徹底解説した記事もご覧ください。
2.夜バナナでできる限り浮腫みをとりたい!
夜バナナで浮腫み対策をするのであれば、夕食の塩分量にも注意してみましょう。いつも味の濃い物を多く食べている方であれば、カリウムを摂りつつ摂取する塩も減らすと、より改善しやすくなるからです。
ただ全体的に料理の味を薄くすると物足りなくてストレスがたまるので、素材そのものの味でも美味しく召しあがれる食材を活用してください。
例えば、
- 緑黄色野菜
- 根菜
- ナッツ
- 豆類
- 芋類
などがおすすめです。とくに、ナッツや芋類はカリウムも多く、夜バナナのサポート役にピッタリです。
カリウムの量も記載しておきますね。
- バナナ1本:300㎎
- アーモンド10粒:76㎎
- 豆乳コップ一杯:340㎎
- 蒸しさつまいも3分の1本:380㎎
さつまいもは糖質・ナッツは脂質が多いので、食べる量に注意しましょう。
3.夜バナナで睡眠の質を良くしたい!
夜バナナの力を借りながら睡眠の質を良くしたいのであれば、毎度の食事でトリプトファンをしっかりと補いましょう。難しいことは考えず、赤身肉や魚など動物性のたんぱく質を含む食材を意識的にとれば大丈夫です。
とくに糖質メインの食事をとっている方は、夜バナナで主食を減らしつつ、たんぱく質を摂るのが効果的。睡眠の質を改善するのも、体脂肪を減らすのにも効果がありますよ。後におすすめのレシピを2つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ほかにも、日中の明るいうちに太陽を浴びると入眠しやすくなります。また就寝1~2時間前の入浴も体温の関係で入眠しやすいと言われているので、興味があれば試してみてくださいね。
4.夜バナナで腸内環境を整えたい!
腸内環境を整えたいのであれば、夜バナナでオリゴ糖・食物繊維を摂取するのに加えて「朝食」と「こまめな水分摂取」が重要になります。
起床後30分~1時間のうちに朝食を食べると腸が刺激され、活動をはじめます。決まった時間に刺激されることで腸の働きが良くなるので、腸内環境を整えたいときには意識したいポイントです。発酵食品やオリゴ糖の多い果物を摂ると、より効果を感じやすいでしょう。
また水分不足で腸内環境が悪化している方も多いです。水分が不足すると腸内で便が滞ってしまうので、こまめにコップ一杯の水を飲み、1日トータルで1.5L程度を目指してください。
とくに朝起きてすぐに温かい白湯を1~2杯飲むと、腸が動きはじめるのがよく分かります。
夜バナナの効果を上げるおすすめレシピ2選
夜バナナを食べた30分後に食べることで、より効果を感じやすくなるおすすめのレシピを2つ紹介します。食材選びのヒントもみえてくるはずなので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.豚ヒレ肉と緑黄色野菜のグリル
参考レシピ:cookpad
豚の赤身肉ヒレとブロッコリーのグリルレシピです。低脂質・低糖質で良質なたんぱく質をたっぷりと補えるので、ダイエットにおすすめ。ブロッコリーはカリウム・ビタミンC・食物繊維・βカロテンが豊富で、美容に気をつけたい女性にもピッタリです。スパイスやワインを使うので、無駄な調味料の使用量も少なく、減塩にもなっています。
- 引き上げられると期待される夜バナナの効果:ダイエット、睡眠の質、浮腫み、腸内環境
2.サバ缶で具沢山味噌汁
参考レシピ:cookpad
サバ缶と生姜でつくる身体が温まる具沢山のお味噌汁レシピです。水煮のサバ缶は、たんぱく質やミネラル(カルシウムや鉄など)、ビタミンB群が豊富な優秀食材。レシピでは具材が玉ねぎや人参だけなので、小松菜や水菜といった緑黄色野菜を追加するのもおすすめです。かいわれ大根の代わりにブロッコリースプラウトを入れるのも栄養価が上がります♪
- 引き上げられると期待される夜バナナの効果:ダイエット、睡眠の質、浮腫み、腸内環境
夜のバナナについてまとめ
夜バナナの効果は、薬ほど強力なものでないことを頭に入れることが先決!さまざまな栄養素を含み、期待される効果をもたらす作用があるのは確かですが、バナナだけで改善するかは難しいからです。
まずは夜にバナナを食べるメリット・デメリットを理解し、自分に合っているかもと思えば試してみましょう。
そして、せっかく夜バナナにチャレンジするなら、より効果を感じられるよう工夫するのもおすすめです。バナナの力を借りながら、生活スタイルや食習慣を見直してみてはいかがでしょうか。