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脂質制限は糖質制限より痩せる?管理栄養士おすすめのレシピも紹介

脂質制限は糖質制限より痩せる?管理栄養士おすすめのレシピも紹介

さまざまなダイエット方法があるなか、糖質制限と肩を並べて注目を集めている「脂質制限」。脂質制限も糖質制限と同じようにメリット・デメリットがあり、間違ったやり方ではダイエット効果も感じにくいです。

そこで今回、現役の管理栄養士が脂質制限についてくわしく解説します。

「脂質制限と糖質制限どっちの方が痩せるの?」
「脂質制限中は油は一切とったらだめなのかな?」
「脂質制限中におすすめのレシピが知りたい!」
という悩みを解消できる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

脂質制限と糖質制限どっちが痩せる?

脂質制限とは、摂取する脂質の量を制限する方法のこと。糖質制限のように、ダイエットを目的として取り組んでいる方が多いようです。

「脂質と糖質、どちらも制限する方が効果がありますか?」という質問をよくいただきます。

結論、あなたが食べている現在の食事内容によります

ご飯や麺類ばかり食べているのであれば糖質制限を行えばみるみるうちに減量できるでしょう。逆に、ステーキや焼肉ばかり食べている方であれば、脂質制限をすればダイエット効果を感じやすいです。

どのような制限食も「今の食事を改善する内容」になっていないと効果はあまり感じません。

この記事では、現在脂質を摂り過ぎている方に向けて脂質制限のお話しをすすめていきますね。

そもそも脂質とは

脂質は体に必要なエネルギー源であり、次のような働きをしています。

  • 細胞膜を構成
  • ホルモンの成分
  • 脂溶性ビタミンの吸収促進
  • 皮下脂肪として体温の保持や内臓の保護

ご覧の通り、脂質は代用のきかない体に欠かせないものです。しかし、現代人の4割近くが脂質を摂り過ぎていることも分かっています(※)。体に必要な栄養素である脂質ですが、摂り過ぎはエネルギー過多=太る原因になりやすいです。

脂質制限中は脂質と上手に付き合うことがポイントになります。

農林水産省「脂質のとりすぎに注意」

脂質制限中の油との上手に付き合う3つのポイント

脂質制限中は、次の3つのポイントをおさえて上手に油と付き合いましょう

  1. 良質な油をとる
  2. 飽和脂肪酸に注意
  3. トランス脂肪酸に注意

ひとつずつ詳しく紹介します。

1.良質な油をとる

脂質制限中は良質な油を摂るようにしましょう。おすすめは、コレステロールを上げにくくエネルギー源として利用しやすい油です。

具体的には、以下のような油があります。

  • MCTオイル
  • オリーブオイル
  • 脂ののった青魚

揚げ油や揚げた後に時間が経った揚げ物の油は酸化しているため、フレッシュな生の油を取り入れることが大切です。

2.飽和脂肪酸に注意

飽和脂肪酸ばかりを摂ることは避けましょう。飽和脂肪酸をメインに脂質を摂ると、動脈硬化を促進してしまうリスクが高まります。

飽和脂肪酸を豊富に含む食品は次の通りです。

  • 肉類
  • バター
  • 生クリーム
  • ラード

飽和脂肪酸は動物性の脂質に多く含まれています。魚にも飽和脂肪酸は含まれますが、肉に比べるととても少ないので心配しなくて大丈夫。バターや生クリームを使うときも量に気をつけましょう。

3.トランス脂肪酸に注意

飽和脂肪酸だけでなく、トランス脂肪酸の摂り過ぎにも気をつけてください。トランス脂肪酸も動脈硬化の原因にあがっています。

トランス脂肪酸を多く含んでいる食品を確認しておきましょう。

  • マーガリン
  • 市販のクッキー
  • 市販のスナック菓子
  • 市販の焼き菓子

厚生労働省「脂質異常症(実践・応用)」参照

トランス脂肪酸を多く含む食品をよく食べていた方は、食べるのをやめるだけで大幅なカロリーカットにつながります。

【メリット】脂質制限で痩せるとどうなる?

脂質制限を行うと、ダイエットのほかにも嬉しいメリットがあります。その中でも大きなメリットは、食事が整いやすいこと。

食事が整うことで次のような効果があらわれます。

  1. 自然に高カロリー食品を控えられる
  2. 血中脂質が減りやすい
  3. 動脈硬化の予防になる

こちらも詳しく解説しますので、参考にしてください。

メリット1.自然に高カロリー食品を控えられる

脂質の量を抑えることで、自然に高カロリー食品を控えられるようになります。

理由は、三大栄養素である炭水化物・たんぱく質・脂質のエネルギー量の違いです。

  • 炭水化物・・・4kcal
  • たんぱく質・・・4kcal
  • 脂質・・・9kcal

炭水化物とたんぱく質と比べると、脂質は2倍以上のエネルギーをもっています。よって、脂質の摂取量を減らせば、比較的容易にカロリーオフできると分かりますね。

メリット2.血中脂質が減りやすい

脂質の摂取量を控えることで血中脂質が減りやすくなります

血中脂質は次のようなものです。

  • 中性脂肪
  • コレステロール
  • LDLコレステロール

血中脂質の原料は脂質です。原料である脂質が制限されれば、合成される血中脂質も減ることは分かるはず。

中性脂肪にかんしては糖質量の摂取が多い場合でも上がりますが、基本的に脂質が抑えられると改善しやすくなります。

メリット3.動脈硬化の予防になる

良質な脂質をメインに適正量のみ摂ることで、動脈硬化の予防につながります

動脈硬化とは次のような状態を示します。

「動脈硬化」とは「動脈の壁が厚くなったり、硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きがわるくなる病変」の総称です。もともと病理学で使う呼び方で、病名ではありません。

引用:国立循環器病研究センター「動脈硬化」

動脈硬化の状態が悪化すると、血液が上手く流れなくなったり血栓が詰まりやすくなり、結果として脳梗塞や心筋梗塞などの大きな病気を引き起こすことに。必要量の脂質で血液の健康を維持しましょう。

【デメリット】脂質を極端に摂らないと・・・

「脂質って控えた方がメリット多そうだな・・・」と思っているあなた。まさか完全にカットしてしまおうなんて思っていませんよね?

脂質はまったく摂らなくても不調を招きます。次のリストをチェックしてみてください。

  • エネルギー不足
  • 免疫力の低下
  • ビタミン不足
  • ホルモンバランスの不均衡

これらは脂質が不足すると起こりやすい症状です。脂質は摂り過ぎないこと、適量を摂ることを意識するようにしましょう。

脂質制限は5つのコツで成功率アップ!

まったく摂らないのではなく、摂取量を抑えながら質の良い脂質を摂りたいことが分かりました。では、具体的にどのように脂質制限を行えばいいのでしょうか?

脂質制限で上手に減量していくための5つのコツを紹介します。

コツ1.必要量の脂質は必ず摂る

健康的に生きていくために必要な脂質量はしっかり摂るようにしましょう

おすすめの方法を2パターン紹介します。

  • 食材は脂質量少ないもの、調味料はオリーブオイルを使用する
  • 食材は脂質を含むもの、調味料で油脂は使用しない

例えば、ササミを蒸してたっぷりのサラダに乗せ、オリーブオイルでつくったドレッシングで食べる。脂ののったサバを塩麴に漬けておき、魚焼きグリルで焼くなどですね。

食材と調味料でうまく使い分けると脂質を上手に制限できます。

コツ2.脂質の多い食品・料理を頭に入れる

脂質の多い食品・料理を頭に入れておきましょう。そうすれば、外食でも惣菜を買うときでも、自作するときでも脂質制限食を考えやすくやすくなります

脂質の多い食品

  • 肉の脂身
  • 蒼魚
  • 油脂類
  • ドレッシング類
  • アボカド
  • ナッツ類

脂質の多い料理

  • 揚げ料理
  • 炒め料理
  • 洋食
  • 洋菓子
  • 焼き菓子
  • 惣菜パン

コツ3.糖質とたんぱく質はしっかり食べる

脂質制限する際、エネルギーまでカットしないよう、糖質とたんぱく質はしっかりと食べましょう

エネルギー不足の状態は、体の燃費が落ちやすいです。しっかり食べないと痩せやすい身体づくりは厳しいので、脂質を抑えながら食事はバランスよく食べるようにしてくださいね。

とくに代謝の大半を担う筋肉量を維持したいので、たんぱく質はしっかりと食べる(※)ようにしましょう。

※体重1kg当たり1.2g以上のたんぱく質が目安です。

コツ4.野菜・海藻もたっぷりと

脂質制限に限らずですが、ダイエット中は野菜や海藻をたっぷり食べましょう。

食事を改善しはじめると、食事量の減少により便秘や空腹感に悩まされやすいです。そんなときに役立つのが、食物繊維やミネラルが豊富な野菜と海藻。野菜や海藻をたくさん食べると便通も改善されやすいですし、お腹が空き過ぎてストレスに感じることも少なくなります。

コツ5.運動も併用できればベスト

ダイエット中に併用できればベストなものは運動も当てはまります。

運動をして筋肉を動かすと、消費するエネルギー量があがります。さらに筋肉量が増えれば基礎代謝も上がるため、痩せやすい体へとシフトできるのです。

脂質制限は糖質制限のような短期間痩せはあまり期待できません。しかし、運動を併用すれば糖質制限と同じようなスピード感で体脂肪を減らすこともできます。

脂質制限中におすすめしたいレシピ

最後に、脂質制限中におすすめのレシピを3つ紹介します。脂質制限と相性の良い食材を使用しているので、ぜひ参考にして作ってみてください。

1.タラのガーリックソテー

出典:レタスクラブ

野菜をたっぷり摂れるタラのガーリックソテーのレシピです。タラは高たんぱく質で低脂質なお魚のひとつで、ダイエット中の食材としてとてもおすすめです。ガーリックの香味とレモンの酸味を上手に使っているので、塩分も抑えられていて浮腫み予防にもなります。レシピではバターを使用していますが、脂質制限中の飽和脂肪酸摂取を減らすため、オリーブオイルで代用しましょう。バターの風味は欠かせない!という方は、最後の香り付けとして少量のバターを使うくらいにするのがおすすめです。

2.サバの塩麴漬け

出典:Cookpad

ダイエット中はお魚でたんぱく質を摂ると減量がスムーズです。青魚の脂質は質が良く、LDLコレステロールを減らす作用があるので、意識してとるようにしましょう。青魚の中でも脂質が豊富なサバは、たんぱく質も多く含まれます。脂質が多いので調味料に油は使わず、臭みを感じにくい「焼き」料理と相性が良いです。今回は塩麴ですが、みりんに漬けたみりん焼きも柔らかくて美味しく食べられます。たっぷりのご飯と具沢山のお味噌汁で食べれば、大満足のヘルシーご飯です。

3.いちごとバナナのスムージー

出典:Cookpad

冷凍いちごと冷凍バナナでつくるビタミンたっぷりのスムージー。食物繊維やオリゴ糖がとれるので、便通が気になる方にもおすすめのレシピです。MCTオイルを追加することで素早くエネルギーとして利用できるので、忙しい朝にもぴったり。毎朝、通勤途中のマックで朝マックをしていたり、コンビニでホットスナックを食べていたりする方は、このレシピに置き換えれば大幅な脂質カットになります。

脂質制限のまとめ

脂質制限は、脂質の摂取量を抑えることでダイエット効果を得る方法のことです。たんぱく質や炭水化物に比べてカロリーが高い脂質は、摂る量を控えれば簡単に摂取エネルギーをオフできます。しかし、脂質は体にとって必要な栄養素です。不足すると体に不調があらわれますので、絶対に完全なカットはしないでくださいね。おすすめの油とレシピを参考にして上手に脂質制限に取り組み、健康的な体を手に入れましょう。

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