お菓子や料理で多用され、独特のコクと旨味が食材の味を引き立てるため、隠し味としても利用できるバター。油脂の仲間で高カロリーなイメージがあり、ダイエット中は控える方もいいのではないでしょうか。本記事ではバターのカロリーや栄養素について管理栄養士が詳しく解説しているほか、マーガリンとの違いなど気になるポイントをわかりやすく解説します。
バターのカロリーや糖質
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 糖質 |
---|---|---|---|---|
有塩バター 100g | ||||
745 kcal | 0.6 g | 81.0 g | 0.2 g | 0.2 g |
無塩バター 100g | ||||
763 kcal | 0.5 g | 83.0 g | 0.2 g | 0.2 g |
発酵バター 100g | ||||
752 kcal | 0.6 g | 80.0 g | 4.4 g | 4.4 g |
摂取基準 (上段男性、下段女性) | ||||
2650 kcal 2000 kcal | 60.0 g 50.0 g | 73.6 g 54.8 g | 364.0 g 271.0 g | 344 g 253 g |
※1
有塩バターは100g当たり745Kcal・脂質81.0g・糖質0.2gです。厚生労働省では「生乳や牛乳または特別牛乳から得られた脂肪粒を連圧したもの」をバターであると定義しています。つまり、牛乳の脂肪分のみを取り出し、練ってまとめたものがバターであり、成分の8割が脂質です。有塩バターのほかに、食塩不使用のバターや乳酸菌を添加して発酵させるバターもありますが、カロリーや脂質、糖質の値に大きな差はありませんでした。
【雪印・森永・よつ葉】各社のバターのカロリー
出典:雪印
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 糖質 |
---|---|---|---|---|
雪印 北海道バター | ||||
732 kcal | 0.6 g | 81.0 g | 0.2 g | 0.2 g |
森永乳業 北海道バター | ||||
735 kcal | 0.5 g | 81.1 g | 0.8 g | 0.8 g |
よつ葉 よつ葉バター | ||||
731 kcal | 0.1-1.1 g | 80.8 g | 0.1-1.1 g | 0.1-1.1 g |
※すべて加塩タイプで100gあたりの値
雪印・森永・よつ葉のバターはほぼ同じカロリーですね。糖質量に少しだけ違いがあるので、食べた時の甘みの感じ方によって好きなメーカーのものを使用するといいでしょう。
バターとその他油脂類のカロリー・脂質を比較
- バター・・・745Kcal、脂質81.0g
- オリーブオイル・・・921Kcal、脂質100.0g
- ごま油・・・921Kcal、脂質100.0g
- サラダ油・・・921Kcal、脂質100.0g
※すべて100gあたり
※1
固形のバターは他の液状の油脂よりも低カロリー・低脂質です。油脂に使う原料によってそれぞれ含まれる栄養素が異なりますので、一概にどれを使うといいと断言はできません。コクや旨味を引き立てながらやさしい味わいにしたいときは、バターを試してみることをオススメします。
トーストに塗るならバター?マーガリン?
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 糖質 |
---|---|---|---|---|
バター 10g | ||||
76 kcal | 0.1 g | 8.3 g | 0.0 g | 0.0 g |
マーガリン 10g | ||||
77 kcal | 0.0 g | 8.3 g | 0.0 g | 0.0 g |
※1
バターとマーガリン、どちらが健康やダイエットにいいのか迷ったことありませんか?トースト1枚に塗る量で2つを比較すると、ほとんど同じカロリーです。一時は植物性油脂のマーガリンの方がヘルシーだといわれていましたが、トランス脂肪酸の含有量が問題として知られるようになります。
いくつかの研究で「バターなどが含むトランス脂肪酸は心疾患などを引き起こす原因」と報告があがりますが、元々脂質の摂取が多くない日本人を対象としているものではないので、確証はないようです(※2)。よって、朝食のトーストに適量塗るくらいであれば、バター・マーガリンどちらでも好みの方を塗ってもいいでしょう。
カロリーオフのバターはあるの?
カロリーオフのバターがあればいいのに・・・という思いに応えるため作られたのが、カロリーオフのバター系製品です。バター系であって、厳密にはバターではありませんが、以下3点について紹介します。
- マーガリンよりも脂肪分が少ないファストスプレッド
- 脂肪分70%カット!明治のオフスタイル
- カロリー50%オフ!雪印のカロリーハーフ
脂肪分が80%未満のファストスプレッドとは
ファストスプレッドとは、マーガリン同様食用油脂が主成分かつ脂肪分が80%未満のもので、果実やチョコ、ナッツなどを加えたものを指します(※3)。マーガリンに比べて柔らかい食感の商品が多く、好んでパンに塗る方も多いです。チョコ風味などは砂糖が多く添加している場合があるので、ダイエット中は意識して摂るのがベター!
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 糖質 |
---|---|---|---|---|
バター/100g | ||||
745 kcal | 0.6 g | 81.0 g | 0.2 g | 0.2 g |
ファストスプレッド/100g | ||||
637 kcal | 0.2 g | 69.1 g | 0 g | 0 g |
100Kcalほどオフされていますが、油脂以外の栄養素はほぼ含まれていないことがわかります。
脂肪分70%カット!明治のオフスタイル
出典:明治
明治のオフスタイルは水溶性食物繊維のイヌリンを主成分とするマーガリンを販売しています。100g当たり270Kcalで食物繊維を27gも含んでいるので、健康志向の高い方やダイエット中の方には強い味方になってくれる製品です!ただ、ミルク風味とあり、バターやマーガリンとは少し風味が異なっているので好き嫌いが分かれる商品になります。
カロリー50%オフの雪印カロリーハーフ
出典:雪印
雪印からは100g当たり360Kcalのファストスプレッド「ネオソフトハーフ」が販売されています。ネオソフトハーフは通常のマーガリンに近い味が楽しめそうですが、健康効果は食物繊維を豊富に含んでいるオフスタイルのほうが高いですね。
バターの栄養
お伝えした通り、バターは8割が脂質です。乳製品の脂質は私たちの身体にやさしく、効率よく吸収される(※4)ため、エネルギー源として優れています。チーズやヨーグルトのようにミネラルやビタミンが豊富なわけではありませんが、ビタミンAやβカロテンを豊富に含んでいるため、肌や粘膜の健康維持にも役立ちます。
バターを使った糖質オフレシピを紹介
最後にバターを使った糖質オフレシピを紹介します。バターは糖質を含まないので糖質制限中は適量であれば摂取OK♪バターの旨味を活かして、マンネリ気味の糖質制限食にパンチを入れていきましょう!
鶏むね肉とアスパラのスープ
出典:Cookpad
一食当たり280Kcal、タンパク質・食物繊維が摂れるほっこりできる糖質オフスープです。バターの香りがやさしくてあったまります。鶏むね肉には良質なタンパク質のほかストレスを緩和するアラキドン酸という脂肪酸を含むので、糖質制限中でイライラしがちなときにもおすすめです。
低糖質!罪悪感ゼロのスコーン〜チョコ入り~
出典:Nadia
一個当たり約200Kcal、糖質6gほどのチョコスコーンです。糖質制限中にチョコのお菓子が食べられるのは、頑張る毎日の息抜きになりますね♪チョコレートをクリームチーズなどに置き換えても美味しいですよ!
【おまけ】ピーナツバターのカロリー・糖質は?
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 糖質 | 食物繊維 |
---|---|---|---|---|
バター/100g | ||||
745 kcal | 0.6 g | 81.0 g | 0.2 g | 0 g |
ピーナツバター/100g | ||||
640 kcal | 25.4 g | 50.7 g | 14.4 g | 6.1 g |
ピーナッツバターの注目すべき点は食物繊維の量です。バターは食物繊維をまったく含みませんが、ピーナツバターは100g当たり6.1g含んでいます。パンに10gくらいを塗って食べた場合、一食で0.6gの食物繊維が摂れます。また、名前にバターとありますが、ピーナツバターの原材料はピーナッツ・砂糖・食用油脂・食塩であり、乳脂肪分は含んでいないことも知っておきましょう。糖質はバターに比べて高くなりますが、100g当たり14.4g・10gで1.4gと食べ過ぎさえしなければ気にする必要はありません。
バターのカロリー・糖質についてまとめ
油脂の仲間であるバターは高カロリーな食品です。しかし、その脂質はエネルギー源として活用しやすく、ビタミンAも含んでいることがわかりましたね。朝食のトーストに大さじ1くらいのバターを塗るなど、適量を摂る分にはダイエット中でもコントロールできそうです。バターの使用量が多い菓子類や料理はかなりカロリーが高いので、食べる量は頻度には気をつけましょうね。
参考文献一覧
※1:文部科学省「エネルギーおよび成分含有量は文部科学省<日本食品標準成分表>2015年版(七訂)」
※4:Jミルク「バターの栄養」